猫井 登のパティスリー探訪~断面美ケーキを求めて~

第1回目は、湯島にあるフランス菓子店「ロワゾー・ド・リヨン」(直訳すると、リヨンの鳥)。お店のロゴになっているルージュ・ゴージュ(こまどり)は、つがいで行動することで知られ、加登シェフが生涯、お菓子とともに生きていきたいという想いが込められている。

加登学シェフは、日本に本格的フランス菓子を紹介した「ルコント」を経て渡仏し、リヨンの有名店で修行され、帰国後は古巣「ルコント」で歴代最年少のシェフに抜擢された実力派。その後、世界的に有名なフランス料理・製菓の専門学校である、ル・コルドン・ブルーに製菓の教授として招かれるという輝かしい経歴の持ち主でもある。その加登シェフが2005年独立、オープンした店が「ロワゾー・ド・リヨン」である。

そんな加登シェフが作り出すお菓子は、甘味、酸味、苦味、香りを調和させつつ食感までも計算に入れたインパクトや主張のあるフランス菓子である。一言でいえば、「ガッツリと旨味が感じられるお菓子」。

ここで、ロワゾー・ド・リヨンの代表的なお菓子をいくつか紹介しよう。

1、オペラ
オペラというのは、ビスキュイ・ジョコンドというアーモンドを主体とした生地のあいだにチョコレートクリームとコーヒークリームを交互にはさみ込んだケーキ。
チョコレートの濃厚な甘みとコーヒーのほろ苦さ、それにアーモンドの生地の旨味が口の中で渾然一体となって広がる伝統的なケーキの1つだ。 フランスでは、どのパティスリーでも置いてあるほどポピュラーで、店の特徴やこだわりが表れるケーキでもある。
加登シェフは高度な技術により生地を極薄に焼成、11層にもおよぶ芸術的なオペラを作り出す。極上の味わいのチョコレートケーキ!


2、タルト・シトロン
甘いビスケット状の生地であるシュクレ生地の中に、焦がしバターを入れて味わいに深みをもたせた濃厚なレモンクリームを絞り入れ、香ばしく焼き目をつけたイタリアンメレンゲ、レモンコンフィのシロップ煮、レモンのマカロンでデコレーションをした見た目にも爽やかなレモンタルト。レモンクリームの酸味、メレンゲの甘みや生地の食感が計算しつくされた、これからの暑い季節にぴったりのタルトだ。


3、ガーネット
ベリー好きにはたまらない、イチゴ・フランボワーズ・ブルーベリー・カシスの4種のベリーを使ったケーキ。4種のベリーのムースが、ダコワーズ生地に挟まれたホワイトチョコレートのムースとフランボワーズとイチゴのジュレを包み込む構造となっている。
ホワイトチョコレートのやわらかな甘み、フレッシュな味わいの甘酸っぱいジュレ、ひかえめな味わいのダコワーズ生地が、やさしい味わいのムースを引き立てている。


これらの生菓子のほか、お店には加登シェフが修行したフランス・リヨンの「クッサン」、「ビション・リヨネーズ」など珍しい郷土菓子も!




「クッサン」

今回の<断面美ケーキ>は、こちら!

切断前

切断後
そして・・・
今回の<断面美ケーキ>は、こちら!
「キャラメロ」
土台は、キャラメリゼしたアーモンドとヘーゼルナッツ、それにローストしたピーカンナッツを入れた、濃厚な生チョコのタルト。ブランデーが利かせてあり、大人の味わい。上は中にビスキュイ生地をしのばせたほろ苦いキャラメルムース。ムースの表面には、ほんのりとチョコレートの薄化粧が施され、トッピングされた甘塩っぱいヌガティーヌが食感と味わいにアクセントを与えている。


今回取材に協力してくれたお店はこちら

店名:ロワゾー・ド・リヨン
住所:東京都文京区湯島3-42-12
電話:03-3831-9901
URL:http://www.lo-lyon.com/
営業: 10:00~21:00
休み:年中無休(夏期休業あり)
喫茶:11:00~18:30LO



バックナンバー
第3回「モンブラン」
第2回「ドゥー パティスリーカフェ」
第1回「ロワゾー・ド・リヨン」


プロフィール

猫井 登 (ねこい のぼる)

1960年、京都生まれ。
早稲田大学法学部卒業後、大手銀行に勤務。 退職後、服部栄養専門学校調理科で学び、調理免許取得。
ル・コルドン・ブルー代官山校にて、菓子ディプロム取得。フランスエコール・リッツ・エスコフィエ等で製菓を学ぶ。著書に「お菓子の由来物語」(幻冬舎ルネッサンス刊)がある。
お菓子の由来物語
お菓子に秘められた物語を明らかにした"由来事典"。
「ショートケーキ」や「チーズケーキ」などの定番商品から、「パリブレスト」「ババ」などの変り種まで、約140種を掲載。